
故人の希望やさまざまな事情から「親の葬式をしない」という選択を考えている人もいるかもしれません。
今回は親の葬式をしないという選択で、後悔しないための考え方について紹介します。
葬儀をあげるのは義務ではない
そもそも、葬儀をあげるのは義務ではありません。
最近は通夜や告別式などを行わず、火葬だけで弔う直葬(密葬、火葬式)も増えています。
直葬の場合は病院や自宅などで遺体を安置したあと、直接火葬場に運びます。
家族や親戚などが参列し、出棺時や火葬炉の前などで僧侶にお経を上げてもらって供養するのが一般的です。
法的な手続きは必要
葬儀をしない場合でも、法的な手続きは必要です。
死亡届を役所に届ける必要があるほか、必ず法律に従って遺体の土葬または火葬をしなければいけません。
たとえ葬儀をあげないとしても、法的義務があることは忘れないようにしましょう。
親の葬式をしない理由とは?
「親の葬式をしない」と決めた人には、どのような理由が多いのでしょうか?
親の希望
生前から「お葬式はしたくない」とお願いされていたり、遺言書やエンディングノートなどに書き残されていたりして、親の希望を叶える形で葬式をしないケースです。
「お葬式で子どもに金銭的な負担をかけたくない」「最期は家族だけで、ささやかに見送ってもらいたい」などの理由から、豪華な葬儀はしなくて良いと考える人も増えています。
宗教観の変化
宗教観の変化も、従来の葬儀を必要としないと考える人が増えた理由の1つ。
近年では菩提寺がない人も増えており、直葬では僧侶の読経も省略するケースも珍しくありません。
これまでの伝統や宗教儀礼にとらわれず、故人を自分たちらしく見送りたいという考え方の変化も影響しています。
人間関係の希薄化
高齢化や人間関係の希薄化も、葬式をしない理由として挙げられます。
故人が高齢だった場合は所縁がある人がすでに亡くなっていることも多く、たとえ存命であっても健康上の問題で参列が難しいこともあるでしょう。
費用が抑えられる
直葬は費用が抑えられるので、金銭的な理由で選ぶ人もいます。
一般的な葬儀が200万円前後かかると言われているのに対して、シンプルな直葬は20万円前後で行うことが可能です。
葬儀場の使用料や祭壇、お布施、会食費などがかからないので、できるだけコストを抑えたい場合には経済的な葬送方法と言えるでしょう。
後悔しない葬式の考え方
親から生前に「お葬式はしなくていいから」と言われていた場合には、気持ちを尊重してあげたいと思うはず。
しかし、葬式は故人との最期のお別れです。
ここでは後悔しない葬式の考え方について確認してみましょう。
葬式をしないデメリットを知っておく
直葬はコストを抑えることができたり、葬儀にかかる遺族の負担を軽減したりすることができます。
しかし親の葬式をするか・しないかで悩んでいる人は、葬儀をあげないデメリットについても知っておくことが大切です。
後日参列者への対応が必要になるケースも
通夜や告別式がなければ、参列者への対応に追われることはありません。
しかし、近所の人や故人と関係があった人に訃報を伝えたとき、後日になってお悔やみの電話や来客、お香典の対応などに個別で対応しなければならないことも。
直葬を選んだ人の中には「規模は小さくても、お葬式さえしていればこんなに忙しくなることはなかったのかも…」と後悔する人もいるようです。
直葬に対応していない葬儀社がある
葬儀社によっては、直葬に対応していないこともあります。
直葬は少しずつ認知されてきているものの、まだ一般的な葬法とは言えません。
特に地方や小さな町などでは抵抗を感じる人も多く、葬儀社も対応していないケースがあるでしょう。
菩提寺から納骨を拒否される可能性
お寺との付き合いがある場合は、勝手に直葬をしてしまうと納骨を拒否される可能性があります。
そもそも葬儀は、宗教や宗派の作法で執り行われるのが一般的です。
勝手に僧侶を呼ばずに直葬をしてしまうと、考え方の違いから納骨やその後の供養などを断られるかもしれません。
直葬を検討する場合は、必ず菩提寺に相談するようにしてください。
残された人たちの気持ちが整理できないことも
葬式をしないことで、残された人たちの気持ちが整理できない可能性もあります。
直葬は一般的な葬儀と比べて故人とお別れするまでの時間が短く、故人がいなくなったことを受け入れられないまま火葬が終わってしまうことも。
たとえ故人の希望だったとしても、全てが終わってから「やっぱりお通夜や葬式をするべきだった」と後悔するかもしれないので、直葬を検討するときには遺族でよく話し合い、しっかり考えて決めることが大切です。
周囲の理解を得ることが大切
お葬式をしないと決めた場合には、必ず周囲の理解を得るようにしてください。
葬式をしなかったために「お別れも言わせてもらえないなんて…」と周囲から反感を買ったり、未練やわだかまりが残ったりするかもしれません。
特に故人が生前に親しくしていた人には、直葬であることをあらかじめ伝えた上で、後日お別れの会を設けることなども考えておきましょう。
家族葬などの選択肢も考える
「葬儀をするべきか悩んでいる」「一般的な葬儀は大変そうだけど、直葬を選んで後悔が残らないか不安」という場合には、家族葬などの選択肢を考えてみてはいかがでしょうか?
参列者を限定して親しい人だけで執り行う家族葬や、告別式と火葬のみを行う1日葬など、さまざまな形があるので、後悔しない葬儀の方法を選んでくださいね。
さまざまな事情や考え方から、葬式をしないという選択もあるでしょう。
残された家族や友人たちの気持ちにも配慮して、後悔しないお別れにしたいですね。
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